渓斎英泉　美人画　手摺浮世絵木版画

渓斎 英泉（けいさい　えいせん）寛政２（1790）年〜嘉永元（1848）年
　江戸時代後期の浮世絵師、文筆家。妖艶な美人画が特徴で、春画と好色本にも多くの作品があるが、風景画にも優れ、歌川広重との合作に「木曽街道六十九次」がある。
　本姓は池田。名は義信。俗称善次郎。画号は渓斎、国春楼、北亭、小泉、涇斎。亭号は一筆庵（いっぴつあん）、旡名翁（むめいおう）、楓川市隠など数種類。戯作者としての名は可候（かこう、葛飾北斎より送られた号）。
　江戸市中に下級武士の子として生まれ、１２歳から狩野白桂斎に学んだのち２０歳の時に菊川英山の門下となる。幕末の退廃的な美人画を得意とした。
　また文筆家・絵師として多くの艶本と春画を制作しており、文化１３（1816）年の合巻『櫻曇春朧夜』（はなぐもりはるのおぼろよ）、文政5(1822)年『春野薄雪』などの作品をさまざまな隠号を使って発表した。天保の改革後は戯作や随筆に専念し、著作に『无名翁随筆』（天保4年〈1833年〉、池田義信名義、俗称「続浮世絵類考」）などがある。
　晩年には娼家も経営するなどし、嘉永元（1848）年、５９才没。墓所は杉並区の福寿院。

代表作は「木曾街道六拾九次」、「当世好物八契」、「蘭字枠江戸名所図」など。